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No.78(2024.9)

INDEX

1.第77回日本胸部外科学会定期学術集会開催にあたり
  Singularity - Escape from Inertia-
  統括会長、分野会長挨拶
2.『JATS Academy』ホームページ オープンのお知らせ

1.第77回日本胸部外科学会定期学術集会開催にあたり
  Singularity - Escape from Inertia-
  統括会長、分野会長挨拶

77日本胸部外科_840×240.jpg (177 KB)

【竹村 博文 統括会長(心臓)挨拶】

歴史ある学会、守るべきものは守りつつ改革を
 来る11月2日から4日にかけて、金沢市で第77回日本胸部外科学会(JATS)定期学術集会を開催いたします。また11月1日お昼から2日の午前中にかけて、米国胸部外科学会(AATS)との共催で、AATS/JATS Mitral Conclave Workshopを開催します。
 今回の学術集会のテーマは Singularity -Escape from Inertia-としました。Singularity(特異点)とは、天文学において、重力場が無限大になる「重力の特異点」を意味します。特異点の大きさが天体の半径を上回ると、強力な重力で物体が無限に小さな点に押しつぶされて、ブラックホールを形成します。最近では「技術的特異点」のことを意味することが多く、人工知能が人間の知性を超えることを言います。Inertiaとはいい意味でも悪い意味でも「慣性」という意味で、例えばビジネスの世界で、老舗企業が何百年も操業できているのはいい意味でのInertiaをもっているからであり、悪い企業風土のInertiaがあると、なかなかそれから脱却(Escape)できなくなります。日本胸部外科学会は1948年発足の歴史ある学会であり、心臓血管外科、呼吸器外科、食道外科の三本柱が、多分野に跨がるという特徴を有しています。一方、各領域の独自の発展により、胸部外科学会の存在意義を再認識する必要性に迫られていることも事実です。Singularity、そこに込める気持ちは、今回の学術集会が、胸部外科学会の3分野の新たな展開、2026年の3分野独立会長制へ移行時としての特異点となれるようにとの思いから、このテーマとさせていただきました。

プログラムの特徴
 日程表をご覧ください。今回の一つの特徴は、会場数を絞り込みました。通常13〜15ある会場数を7つにしました。それはシンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップのいわゆる上級セッションの横(裏)では一般演題などのセッションを同時進行しないことを意味します。いろいろな学会に参加して思うことは、一般演題も非常に重要なセッションですが、一般演題の演者、そして座長を務めていただく先生方が、とても聞きたい上級セッションがあっても、役割があるのでそこに参加できないといったジレンマです。海外の学会に行くと、plenary session(全体会議)が大きな会場で開催され、ほぼ参加者全員が集まり、熱気あふれる雰囲気を感じていました。そしてabstract sessionになると多くの会場にわかれて、それぞれの分野、カテゴリーでまとまって症例報告や研究発表を効率よく発表、討論している姿を見て、今回もそのような形態にしたいと考えました。全てをplenary sessionにはできませんが、心臓、呼吸器、食道でなるべく多くの上級セッションを企画して、全ての人がどこかの上級セッションに参加できるように工夫しました。また、3日間どの日にも、自分が聞きたい専門カテゴリーのセッションがあるようにも工夫しました。3日間を通して満足していただける日程表になったのではないかと思います。
 一般演題は全て口頭発表としました。ポスター発表のいいところは一日中、掲示できることより、時間をかけて閲覧できる事です。しかし、音響環境がよくないと、質疑応答もうまくいかないことがあります。また、若手の先生にも口頭発表の醍醐味、緊張感、プレゼンテーションの楽しみを味わって頂きたく、すべてを口頭としました。逆に短い発表時間となる欠点があり、abstract sessionでは4分発表と2分討論、rapid fire sessionでは3.5分発表、1.5分討論となっています。是非とも短い時間で、簡潔に研究内容を発表する訓練の場としても活用していただければと思います。海外の学会でよく使われるrapid fire sessionのような効率よく発表する、効率よく議論するスキルを磨く機会と捉えていただければと考えています。ご理解、ご協力をお願いいたします。
 日本胸部外科学会はもともと呼吸器外科医の会として始まりました。その後、心臓外科、食道外科が胸部外科としてまとまり、これまでの歴史を作って来ました。そして徐々に心臓外科の会員数が増え、さらには心臓血管外科学会、呼吸器外科学会、消化器外科学会の中の食道外科がさらには食道学会がそれぞれの世界で発展して、胸部外科学会の存在意義が論じられてきました。ややもすると心臓外科に偏り過ぎた形態を、元々の三本柱に戻そうという流れの中で、今回の学術集会は何ができるのかを模索してきました。また2026年には今の統括会長、分野別会長制ではなく、3分野独立会長制となります。2年前からの助走として、ホップ、ステップ、そして2026年のジャンプに向けて何をなすべきかを検討してきました。
 まずは、各分野の上級セッション数をなるべく均等にしたいと思いました。会員数が少ないから、セッション数も少ない。セッション数が少ないから、学術集会に参加しても楽しくない、だから参加しないといった負のスパイラルに陥らないように、どこかでプラスのスパイラルに転換しなければと考えました。もちろん一気に各分野同数にはできませんが、今回は26:22:13とし、従来よりも不均衡を是正しました。心臓の会員はもちろんですが、より多くの呼吸器外科、食道外科の先生方が参加していただけることを心から期待しています。
 学会の日程上、大変申し訳ないのですが、今回は全員懇親会を開催できません。せっかく金沢まで来たのに残念と言われると思います。全員懇親会は開催できませんが、この元日に起きた令和6年能登半島地震の復興支援として、能登半島のワインや美味を楽しんでいただけるように、11月3日の夕方、abstract sessionとrapid fire sessionが終わった時点で3会場に立食でのワインカウンターを設けます。長い一日の討論の疲れを癒やす歓談の場として提供したいと考えています。その夜はさまざまな研究会も予定されていますので、それぞれの金沢の夜を楽しんで頂きたいと考えております。
 11月1日11:00から18:30までと、11月2日の6:30から11:00まで、AATS/JATS Mitral Conclave Workshopが開催されます。この会は毎年4月下旬もしくは5月上旬に開催されるAATSの前に、2年に1度ニューヨークで開催されるAATS Mitral Conclaveの狭間の年に、米国以外で開催されるWorkshopです。NYでのMitral Conclaveは、世界中から多くの心臓外科医が集まり、僧帽弁の解剖、機能、病理全般について議論される、まさに僧帽弁手術の祭典です。そのWorkshopが2年前初めて日本で開催され、今回が2回目です。この会が金沢で開催されることはまさに夢のようであり、大変光栄に感じています。Dr. David Adamsをはじめ、Dr. Tiron David、Dr. Joseph Woo、Dr. Patrick McCarthy、Dr. Taweesak Chotivatanapon、Dr. Pedro J. Del Nido、Dr. Patrick Perier、Dr. Anelechi Anyanwu、Dr. Ismail El-Hamamsyなどレジェンドと言える先生が来られます。是非多くのご参加を頂き、熱い議論に参加してほしいと思います。また2日の早朝のセッションは若手(50才以下)のビデオセッションとしました。これから応募を始めますが、それぞれの工夫、アイデア、デバイス開発などをビデオで発表していただき、最優秀演者には来年のNYでのMitral Conclaveでの発表権利を与えることを考えています。多くのご応募をお待ちしています。
 金沢へのアクセスに関しては、北陸新幹線の2015年開業により首都圏からは2時間半となり、また2024年の敦賀延伸により、中京圏と関西圏からも、敦賀での乗り換えはありますが、乗車時間が30分短縮となり、アクセスが良好になりました。コロナ禍で減少していた小松空港発着便も徐々に増え、羽田、新千歳、福岡、那覇便が現在運行しています。もちろん東京、大阪に比べればご移動には大変ご不便をおかけしますが、秋の金沢へ是非、足をお運びいただければと思います。11月に入ったばかりの金沢は大変気持ちのいい爽やかな風が吹く時期であります。最も雨の日が多いといわれる街にあって、11月初旬は紅葉が始まる最も穏やかな季節です。学術集会での活発な討議と、その合間での兼六園、金沢城公園、玉泉院丸庭園の紅葉と雪吊り、日本海の海の幸、伝統文化など楽しんでいただければ、これ以上の喜びはありません。是非多くの会員の先生方と金沢でお会いできることを楽しみにしています。

2024_9_takemura(160×190).jpg (8 KB) 竹村 博文
所属施設:金沢大学 心臓血管外科
卒業大学:金沢大学医学部
経  歴:1985年 金沢大学医学部卒業
     1993年 金沢大学 医学博士号取得
     1998年 ニュージーランド・Green Lane病院 Registra
     2001年 金沢大学 心肺総合外科(旧第一外科) 講師
     2003年 岐阜大学 高度先進外科 教授
     2015年 岐阜大学 名誉教授
     2015年 金沢大学 先進総合外科(旧第一外科) 教授
     2015年 石川県医師会 副会長   
     2016年 金沢大学附属病院 副病院長
     2020年 金沢大学 心臓血管外科 教授
     2020年 金沢大学保健管理センター長
     2024年 MBA取得(Anglia Ruskin Univ. 英国)
趣  味:ゴルフ、サックス
好きな言葉:Where there is a will, there is a way
【佐藤 之俊 分野会長(呼吸器)挨拶】
-第77回日本胸部外科学会定期学術集会開催にあたりー

 いよいよ第77回日本胸部外科学会定期学術集会の開催が近づいてきました。この度分野会長(呼吸器)を拝命いたしました、北里大学医学部呼吸器外科学の佐藤之俊です。伝統ある本学会の分野会長を務めることは大変光栄なことであり、貴重な機会を与えていただきました関係各位の皆様方に心より感謝申し上げます。統括会長の竹村博文先生、食道分野会長の亀井尚先生とともに力を合わせて準備を進めて参りました。
 今回のテーマ『Singularity -Escape from Inertia-』に沿ってプログラム構成を考えました。限られた日程のため、呼吸器分野の上級演題は従来の枠組みを踏襲し、「肺 腫瘍」「肺 非腫瘍」「移植」「縦隔」「胸壁、胸膜」「手術手技、低侵襲、拡大、新技術」の6カテゴリーとしました。そして各カテゴリー共に、外科的観点を中心として魅力あるシンポジウム、パネルディスカッション、ディベート、そしてワークショップを企画しました。とくに、シンポジウムは「肺 腫瘍」「胸壁、胸膜」「手術手技、低侵襲、拡大、新技術」の3つに設け、それぞれ「手術術式の変遷(開胸・拡大手術から低侵襲性手術の時代)」、「悪性胸膜中皮腫:外科治療の pit fall と周術期合併症」、「小型肺癌に対する新規技術を用いた診断・治療へのアプローチ」というテーマで演題登録をいただきました。また、海外からの招請者3名は、これらのシンポジウムでご講演いただきます。パネルディスカッションとして「肺移植周術期管理の標準化は可能か?」「胸腺上皮性腫瘍:再発治療、周術期治療、新規治療」「小型肺癌に対する区域切除・楔状切除の功罪」「非手術療法後の肺癌に対する低侵襲手術」、ディベートとして「胸壁悪性腫瘍の外科治療」「充実性小型肺癌に対しても積極的縮小手術を施行すべきか」「膿胸腔のDead spaceをいかに埋めるか」、ワークショップとして「ICI併用術前補助療法 -適応とピットフォール-」「小児胸部臓器移植の 現状と展望」「頸・胸部境界領域に発生した縦隔腫 瘍に対する手術の工夫(含 胸腔鏡・ロボット支援手術)」「肺癌に対する低侵襲手術の 適応拡大」「難治性気胸」「区域切除後の局所再発に対する completion lobectomy」、さらにビデオワークショップとして「隣接臓器浸潤肺癌の手術」「巨大縦隔腫瘍に対する治療戦略」「難渋した肺感染症の外科治療」というセッションテーマを設けて演題登録をいただきました。
 優秀演題としては、例年通り2題の演題を登録いたしました。その発表ではディスカッサントの先生にコメントをいただきますので、発表とともに期待したいと思います。
 さて、本学術集会では一般演題を一般口演、クリニカルビデオ、ラピッドファイア(RF)とし、上級演題との同時進行はなく一般演題のみの開催時間としました。そして、優秀な総数361題の演題を登録いただき、それらに対する慎重な査読の結果242題を採択(採択率67%)しました。各セッションともに2名の座長をご依頼し、様々な観点から活発な議論が展開されることと期待しています。これらのセッションは学会第1日目と第2日目の午前、午後に行います。
 今回のシンポジウムでkeynote lectureをしていただく海外招聘演者の3名は、Valerie W. Rusch先生(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)、Calvin Ng先生(Division of Cardiothoracic Surgery, The Chinese University of Hong Kong)、そしてHisashi Tsukada先生(Brigham and Women’s Hospital)です。この中で、Valerie W. Rusch先生はこの学術集会において、当学会から名誉会員として承認されています。
 この第77回学術集会から、心臓分野に加えて呼吸器分野においてもAATS(American Association for Thoracic Surgery)とのジョイントセッションを会期中に正式にスタートします。International Thoracic Surgical Oncology Summit at JATSというセッションで、学会3日目の午前に開催いたしますので是非ご参加ください。
 若手呼吸器外科医の会、肺癌合同登録委員会報告、呼吸器分野CPAも例年通り開催いたします。さらに、関連研究会として今回もロボット手術手技研究会、単孔式胸腔鏡手術研究会も開催の運びとなりました。非常にタイトなプログラム編成のため、これらの2研究会の開催時間が遅くなり、また、一部開催時間の重複が起きてしまいました。関係者の皆様と参加者の先生方には大変ご迷惑をお掛けいたしますが、是非活発なご議論を行っていただきたいと思います。
 共催セミナーとしてランチョンセミナーとアフタヌーンセミナーも最近の呼吸器外科領域のトピックを中心とした興味深い内容です。
 末筆ではありますが、開催にあたりご尽力いただいたプログラム委員、日本胸部外科学会役員、学会事務局、運営事務局、さらにはご支援いただいた多くの企業、組織の皆様に心より感謝申し上げます。
 2024年11月は歴史ある金沢で学術的な議論を深めると同時に、会員相互の親交を深めていただけますと幸いです。

2024_9_sato(160×189).jpg (7 KB) 佐藤 之俊
所属施設:北里大学医学部呼吸器外科学
卒業大学:東京医科歯科大学医学部
経  歴:1985年 東京医科歯科大学病理学大学院
     1989年 三井記念病院 外科 レジデント
     1992年 癌研附属病院 呼吸器外科フェロー
     1994年 結核予防会複十字病院 呼吸器外科 医員
     1999年 癌研附属病院 呼吸器外科 医員
     2007年 北里大学医学部 呼吸器外科学 主任教授
     2018年 北里大学病院 副院長(診療担当)
     2021年 北里大学メディカルセンター 病院長
趣  味:ロードバイク(ヒルクライム)

【亀井 尚 分野会長(食道)挨拶】
-金沢で多くの食道外科医とともにー

 この度、第77回日本胸部外科学会定期学術集会食道分野会長を拝命いたしました、東北大学消化器外科の亀井尚です。伝統ある本学会の分野会長を務めさせて頂く貴重な機会を与えていただきました学会役員、会員の皆様に心より感謝申し上げます。竹村博文統括会長を中心に、佐藤之俊呼吸器分野会長とともに実りある学術集会のために鋭意準備を進めてまいりました。本学術集会のメインテーマ「Singularity」は、AIが人類の知能を超える技術的特異点、それを超えたAIがもたらす世界の決定的な変化を示す概念を指します。言い換えれば、胸部外科領域の多くの課題を解決して次のステップへ進む転換点にこの学術集会を位置付けたいという竹村会長の強い思いが込められているものと思います。
 食道癌治療は、強力な化学療法や免疫チェックポイント阻害剤の登場で集学的治療が広く行われるようになってきましたが、その中でも根治治療の中心は依然として手術です。われわれ食道外科医は、胸部外科学会を外科手術に主眼を置いた学会、心・肺・食道3臓器横断的という特徴を持つ学会として認識しています。一方、食道外科専門医は消化器外科専門医の上にある3階という立場から、若手医師の胸部外科への参加数が必ずしも多くはなかったという課題もありました。本学会の魅力を強く発信する学術集会となるよう、様々な観点から議論をしてまいりました。
 本学術集会ではこれまでよりも食道領域の時間を多くとっていただき、シンポジウム(SY)2つ、パネルディスカッション(PD)3つ、ワークショップ(WS)4つと幅広いテーマでの上級セッションを企画いたしました。2018年の保険収載以降、急速に増加しているロボット手術では、SY「各施設における食道癌ロボット手術の取り組みと成績」を企画いたしました。2名の海外招請指定演者Long-Qi Chen先生(China)、Yin-Kai Chao先生(Taiwan)に基調講演をいただき、本邦との比較も含めて現状と将来性を議論できればと思っております。食道癌手術において非常に重要な上縦隔リンパ節郭清は、テクニカルな面に焦点を当て、ビデオSY「上縦隔リンパ節郭清におけるMIEの工夫」を行います。今回、外国人名誉会員に推戴させていただきましたAlfred Cuschieri先生(UK)は世界初の食道癌胸腔鏡手術を開発した内視鏡手術のパイオニアですが、Cuschieri先生に基調講演をしていただき、さらに胸腔鏡、縦隔鏡、ロボットと様々なアプローチでの上縦隔郭清についてディスカッションを行います。集学的治療が進歩する中で、従来は切除不能と判断された症例でも手術を行うチャンスが少なからず認められるようになってきました。PD2「Conversion Surgeryの適応と限界」では、予後改善につながる適応症例はどのようなものかについて、短期・長期成績をもとに共有し、今後の研究につなげていきたいと考えております。そのほか、PD3「胸部食道癌におけるcStageIIIAの妥当性の検証」では2022年に第12版に改訂された食道癌取り扱い規約の変更点、特に臨床的リンパ節転移の妥当性についての問題点を、PD1「食道癌術後縫合不全、胃管壊死の早期診断と治療」では、時に致死的にもなり得る縫合不全、胃管壊死のマネージメントに関する新しい取り組みを議論したいと思います。ワークショップでは、様々な癌で術後合併症の有無が長期成績に有意に影響することが明らかになる中でWS2「周術期合併症を減らす試み」、超高齢者や併存症をもつ患者さんが増加していることを背景にWS1「Staged Surgeryの現状」、胸部外科学会ならではのビデオWS「食道癌手術における術中副損傷への対応、開胸移行」やWS3「胸腔鏡下食道切除術における“ちょっとしたコツと工夫”」を企画いたしました。この中で、一部のセッションでは心臓外科医、呼吸器外科医にも参加いただいて、議論を深めていただきます。
 また、食道外科医を目指す若手外科医のための企画、「内視鏡外科技術認定ビデオセミナー」、「食道外科専門医試験突破への道」も準備いたしました。いずれもハードルが高い資格ですが、先生方の食道外科医としてのキャリアアップの一助となれば幸いです。今回はポスター発表はやめ、一般演題は口頭発表のAbstract Session、Rapid Fireを行います。発表時間は必ずしも長くありませんが、多くの先生方に参加、ディスカッションいただくことを目的に上級セッションと重ならないようなスケジュールとなっております。また、学会プログラム外ではありますが、恒例の「食道困難症例検討会」も学会2日目の夜に行います。できれば遭遇したくない困難症例と各施設の苦労を共有するとともに、アドバイス、叱咤激励をいただきながら交流を深めていただければ幸いです。
 前回の76回学術集会から、食道分野の参加費を割り引いていただくご配慮をいただいております。多くの先生方のご参加と熱い討論を期待いたしましてご挨拶とさせていただきます。

2024_9_kamei(160×190).jpg (8 KB) 亀井 尚
所属施設:東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 消化器外科学分野
出身大学:東北大学(1991年卒)
経  歴:1991年 岩手県立磐井病院 外科 研修医
     1994年 東北大学医学部 第二外科 入局
     1995年 東北大学大学院医学系研究科 入学
     1999年 同卒業(医学博士取得)、石巻赤十字病院 外科 副部長
     2002年 厚生労働省 特別研究員
     2006年 東北大学病院 移植再建内視鏡外科 助教
     2012年 東北大学病院 移植再建内視鏡外科 講師
     2014年 東北大学大学院医学系研究科 先進外科学分野 准教授
     2016年 東北大学大学院医学系研究科 消化器外科学分野 教授
     2019年 東北大学病院 副病院長
趣  味:音楽鑑賞、旅行
好きな言葉:常に視座を高く持つ

2.『JATS Academy』ホームページ オープンのお知らせ

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 『JATS Academy』はAATS(米国胸部外科学会)Academyをモデルに、本邦の若手・中堅胸部外科医の臨床および研究、両面の育成を目的とした事業として、2018年10月に産声を上げました。
 当初は研究・教育委員会の活動のひとつとして、若手・中堅胸部外科医に役立つ情報の提供が中心でしたが、2021年11月に単独の委員会として独立。
 若手・中堅胸部外科医の育成という設立主旨は変わることなく、現在はWebinarやワークショップなど時流に即した幅広い教育に裾野を広げ、精力的に展開しています。
 この度、現在展開されている事業を纏めた『JATS Academy』ホームページを公開いたしました。若手・中堅胸部外科医向けの今後の事業がわかりやすく一覧化されたスケジュールもございます。
 若手・中堅胸部外科医の皆さんは奮ってご活用・ご参加ください!

編集後記
広報委員会副委員長 佐伯 浩司
 今年の夏も暑かったですね!この暑さを吹き飛ばしてくれたのは、パリ・オリンピック、パラリンピックです。勝利を目指す選手たちのひたむきな姿を見ていると、自分にも元気と勇気が湧いてきます!
 さて、今回のNews Letterには、竹村博文統括会長、佐藤之俊分野会長、亀井 尚分野会長による、第77回日本胸部外科学会定期学術集会の紹介文が掲載されました。テーマは「Singularity -Escape from Inertia-」。Singularityには、今回の学術集会が、胸部外科学会3分野の新たな展開への特異点となれるようにとの思いが込められています。上級セッション数の大幅な増加、全一般演題の口頭によるプレゼンテーション、rapid fire sessionの導入などなど、たくさんの素晴らしい工夫・取り組みがなされています。また、金沢ならではの魅力を堪能できるおもてなしもご準備いただいており、交流の場としても有意義な集会となりそうです。3会長の熱い思いが詰まった学術集会、今から秋の金沢が楽しみです!
 またHPには、臨床・研究の両面の育成を目的とした特設サイト「JATS Academy」が公開されましたので、特に若手・中堅胸部外科医の皆さんはぜひご注目ください!
 これからも、広報委員ではますますJATSを盛り上げていきたいと思いますので、ご支援どうかよろしくお願いいたします。
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