INDEX
1.専門医制度の最近の動向に関して:サブスペシャルティ領域に関して 2.食道外科専門医制度:特にビデオ審査と口頭試問について 3.専門医申請案内 4.2020年度第3回理事会(持ち回り)ニュース 5.九州地方会案内 6.【お急ぎください!】年会費納入について
1.専門医制度の最近の動向に関して:サブスペシャルティ領域に関して
日本胸部外科学会専門医制度委員会委員長 東京医科大学呼吸器甲状腺外科主任教授 池田 徳彦 専門的な知識や技術の修得のため、若い年代が寸暇を惜しんで努力する姿勢は尊く、心から応援しております。そのような折、新型コロナウイルス感染の影響で学術集会や講習会が延期になり、専門医資格の取得には逆風の状況となりました。これに対して各学会は必要な猶予措置を設定して、決して専攻医、会員の不利益にならぬよう努力していますので、どうかご安心ください。 一方で、専門医制度のサブスペシャルティ領域において進展が見られましたので概要を報告します。 以前より日本専門医機構はサブスペシャルティ領域として23領域(内科15領域、外科6領域、放射線2領域)を認定していましたが、サブスペシャルティ領域研修に関する情報(整備指針、研修方法、施設、期間等)が関係各所で完全な浸透に至らず、また国全体の医療制度設計に適合する運用にするため、厚労省とともに議論を重ねてきました。 また、2020年1月にアカデミアや関係者を交えたワーキンググループが厚労省によって組織され、サブスペシャルティ領域の在り方が確定していきました。 サブスペシャルティ領域の中で、質の高い専門的医療を広く国民に提供できる(プロフェッショナル)領域と、専門的な知識や技術を修得している(スペシャリスト)領域を区別することが行われました。前者は基本領域との連動研修を行うことが適切と考えられ、一方、後者の一部は、他のサブスペシャルティ領域で対象となる疾患に対する知識や技術を修得後、次の段階で研修すべきと判断されました。 従って日本専門医機構が認定していたサブスペシャルティ23領域は、 ●連動研修を行い得る領域 ●連動研修を行わない領域 ●1つのサブスペシャルティ領域を修得した後に研修を行う領域 の3通りに分類されました。 外科系では内科系ほど区分が多様にならず、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、乳腺については、外科領域と連動研修を行い得ると承認され、内分泌外科については、対象疾患を複数の診療科が診療していることや全国における研修施設の整備状況などを考慮し、現時点においては、連動研修を行わない領域と判定されました。 (詳細は厚生労働省医道審議会医師分科会医師専門研修部会の資料を参照してください。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10169.html) 専攻医の先生方は技術や知識を修得するとともに、質の高い専門的な医療を地域に提供することを意識しながら研修に励んでください。
2.食道外科専門医制度:特にビデオ審査と口頭試問について
日本食道学会専門医制度委員会委員長 大平 雅一 今年は、ご存じのようにCorona Pandemicにより全国の病院が大変な状況に陥ってしまいました。食道手術のみならず様々な手術が、ICUや病棟の入院制限、手術数の制限などで影響を受け、特に良性疾患は不要、不急の対象となり手術が延期されてきました。早く通常の診療体制に戻ってくれることを祈るばかりです。 さて、2013年に始まりました食道外科専門医試験も7年目を迎え、138名の合格者を輩出してきました。試験内容も当初は書類審査、筆記試験、口頭試問という、概ね一般的な専門医試験と同様の体制で行われていましたが、安田卓司専門医認定部会長の、「将来、食道外科の指導医となるべく技術と知識を有する専門医を育てる」という信念のもと、様々な改定が行われてきました。受験者はまず書類審査と胸部食道癌手術のビデオ審査を受け、その通過者が筆記試験と面接試験(口頭試問)を受けることになっています。2019年は22名の受験者があり、書類、ビデオ審査を16名が通過。筆記ならびに口頭試問の後、最終的に15名が合格となり合格率は67.6%でした。 ビデオ審査は提出された胸部食道癌の胸部操作の手術ビデオを2名の試験官で評価し、1名でも不合格としたビデオについては手術ビデオ評価委員会を開いて判定を協議し決定することになっています。評価のポイントは(1)食道癌縦隔郭清における基本手術手技の習熟度と危険行為の有無で評価する。(2)食道癌手術の質をある意味担保する資格であるので縦隔郭清度、特に上縦隔の郭清度およびその手順は評価に加える。となっております。また、内視鏡下手術のビデオは概ね問題ないのですが、開胸手術では肝腎の手技が映っていないこともよくあり、これも評価の対象外となりますのでご注意ください。 また、口頭試問は、内視鏡・病理、手術術式、症例の問題、合併症、診療経験などのブースに試験官が2名ずつ配置しており、各試験官が独自で作成した問題について5分ずつ試問を行います。したがって受験者には計50分間の口頭試問を受けていただくことになり、試験終了後はかなり疲れた様子ですが、試験官も結構疲労困憊の状況となります。しかし今後の食道癌手術を担っていただく若手専門医の育成のためという旗印のもと、今後も努力してまいる所存であります。今後、縦郭鏡手術やロボット手術のビデオ審査も行わなければならない状況になると思いますが、安全で確実な胸部食道癌手術の基本理念は変わらないと思いますので、専門医を目指す若手食道外科医の皆さんはその点十分心がけて受験してください。 なお今年度の第73回日本胸部外科学会定期学術集会は10月28日~30日、名古屋国際会議場で開催される予定ですが、その中で丹黒 章食道分野会長と安田卓司専門医認定部会長のご尽力により、テクノアカデミー「専門医試験ビデオ審査のポイント」のセッションが開催されます。専門医試験における手術ビデオ審査のポイントを具体的に、わかりやすく説明していただけるとのことですので、受験を考えておられる先生方には、ぜひご出席いただいて参考にしていただければと思います。
3.専門医申請案内
心臓血管外科専門医申請のご案内 1.新規申請 申請期間:2020年7月1日~8月31日(締め切り必着) 書類審査の後、東京にて筆答試験があります。 2.更新申請 心臓血管外科専門医更新期限を1年延長する措置を行っております。 5年での更新を希望する方は、例年通り更新申請を受け付けております。 対象者:心臓血管外科専門医認定期間が2020年12月31日までの方 申請期間:2020年7月1日~8月31日(締め切り必着) 業績:2015年9月1日~2020年8月31日までのもの 3.再取得申請 対象者:過去に心臓血管外科専門医であった方で、同資格の再取得を目指す方 申請期間:2020年7月1日~8月31日(締め切り必着) 4.認定登録医申請 対象者:専門医更新時に「手術症例数」のみ不足していて更新の叶わなかった方 申請期間:2020年7月1日~11月10日(締め切り必着) 詳細については、心臓血管外科専門医認定機構HPをご覧ください。 http://cvs.umin.jp/
呼吸器外科専門医申請のご案内 1.新規申請 申請期間:2020年7月1日~8月25日(必着) 書類審査の後、11月6日(金)筆答試験(東京)があります。 2.更新申請 申請期間:2020年6月1日~6月30日 詳細については、呼吸器外科専門医合同委員会HPをご覧ください。 http://chest.umin.jp/
食道外科専門医申請のご案内 1.新規申請 受付期間:2020年6月1日~7月31日(午後5時必着) 書類審査およびビデオ審査の後、筆記試験・口頭試問が11月21日(土)にあります。 2. 更新申請 受付期間:2020年8月3日~8月31日(午後5時必着) 詳細については、日本食道学会HPをご覧ください。 http://www.esophagus.jp/
4.2020年度第3回理事会(持ち回り)ニュース
日時:2020年3月27日(金) 場所:日本胸部外科学会会議室
1.審議事項 (1)理事会 厚生労働省からのフィブリノゲン製剤の適応拡大について 日本輸血・細胞治療学会理事長から日本心臓血管外科学会及び本会の意見をまとめる指示があり、日本心臓血管外科学会及び本会理事長の指示で作成した検討すべき点は以下の5点(フィブリノゲン製剤の使用が可能な施設の基準等を新たに設けるか、血中フィブリノゲン値の規定、心臓血管外科手術の対象手術、フィブリノゲン製剤の総投与量、追加投与について)である素案が提出された。 持ち回り審議の結果、素案が承認された。 (2)総合将来計画委員会 ASCVTS2021(奈良)寄附金依頼の件 2013年に第21回ASCVTSが神戸で開催され、その時にも本学会から寄附金300万円を支出していることから、来年2021年奈良で開催されるASCVTSにも同様の300万円の寄附金依頼の要望があり、持ち回り審議の結果、承認された。 (3)選挙管理委員会 各地区別分野別選挙評議員定数の決定について 定款施行細則に則り、各地区評議員定数を4月1日までに公示しなければならない。 2月17日までに有権者名簿を作成し、3月2日までに異議申し立て3件があり、これを受理した結果の有権者名簿を作成した。最終的な有権者数は2,942名であった。 今回の選挙評議員定数は総数400名と決定されているので、各地区別及び分野別の定数案が提示された。持ち回り審議の結果、地区別及び分野別定数案は承認された。なお、女性評議員については定数を決めることはできないので、選挙結果を参考に推薦評議員候補者選考委員会で調節する。 (4)研究・教育委員会 1)JATS Research Project Award選考結果の最終承認 書類選考ならびに委員会の審議を経て、臨床研究助成1件(研究期間3年、支援額100万円で選出数1件)、若手胸部外科医研究助成3件(研究期間2年、支援額50万円で選出数3件)が報告され、持ち回りの結果、承認された。なお、応募者への採否を3月末に行うこととする。 2)TAVI第1回ワークショップへの学会協賛金の拠出 前回理事会で共催が承認された同ワークショップに対する学会協賛金の拠出(10,000 円)について、収支予算概要等の詳しい資料が提出された。持ち回りの結果、承認された。 (5)専門医制度委員会 呼吸器外科専門医システム改修に伴う費用負担 NCD呼吸器外科専門医申請システムの変更(大きな変更は助手症例に制限、新規申請症例数の変更、サンプル抽出症例の件数調整、新規申請者の開胸/胸腔鏡の選択機能を削除等の改修費用 2,288,000円)、学会側呼吸器外科専門医申請システムの変更(新規申請症例数の変更、専門研修施設の追加、改修に伴う画面文言の変更等の改修費用 1,510,124円)を呼吸器外科専門医合同委員会(本会と日本呼吸器外科学会とで折半)で負担することが提案され、持ち回り審議を行った。その結果、本年7月からの申請に間にあうよう改修が必要であり、承認された。
2.第74回・第75回学術集会会期・会場(報告事項) 2021年度第74回定期学術集会(志水 秀行会長) 2021年10月31日(日)~11月3日(水)グランドプリンスホテル新高輪 同時開催:AATS/JATS Aortic Symposium 2021年11月4日(木)会場未定 2022年度第75回定期学術集会(中島 淳会長) 2022年10月5日(水)~10月8日(土)パシフィコ横浜 同時開催:AATS/JATS Mitral Conclave 2022年10月9日(日)
3.今後の理事会・委員会開催方法 (1)理事会をWEB開催にする件 今回のコロナウィルスの対応策として、これが収束する、あるいはワクチン・治療薬の目途が立つまでは書面よりはWEB開催がよい、可能であれば、全員がWeb会議となるのは避けた方がよい、すべてでなくてもよいが、Webを入れて出張の回数を減らすのは賛成などの意見がだされたが、承認された。 (2)今後の委員会開催方法 今後の委員会の開催は緊急性・重要性・参加人数等を勘案して、実際に開催かWeb開催かを決定する。
5.九州地方会案内
第53回日本胸部外科学会九州地方会 会期:2020年7月23日(木・祝)・24日(金・祝) ※6月25日(木)の世話人会の議を経て、通常開催することに決定いたしました。 会場:ソラリア西鉄ホテル 8階(福岡市) 会長:塩瀬 明(九州大学大学院医学研究院 循環器外科学講座 教授) ホームページ:http://jpatsk.com/53/
6.【お急ぎください!】年会費納入について
当年2020年度(会計期間:2019/8/1~2020/7/31)も残すところ、2週間となりました。年会費未納の方はご納入をお急ぎください。特に、2年分会費未納(2019~20年度)の場合は、8/1で定款により未納退会となってしまいます。至急7/31までにご納入ください。
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