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No.562020年8月号)

INDEX

1.呼吸器外科領域の専門医制度について
2.心臓血管外科専門医制度の最新情報
3.専門医申請案内

1.呼吸器外科領域の専門医制度について

呼吸器外科専門医合同委員会委員長 / 東京医科大学呼吸器甲状腺外科主任教授
 池田 徳彦

 日本専門医機構から6月30日付で「サブスペシャルティ領域専門研修細則」が発出されました。https://jmsb.or.jp/wp-content/uploads/2020/06/subsupe_mg_20200630.pdf
 ご一読いただき、専門医の使命や社会からの期待などを再認識してください。同時にさまざまな仕組みで専門研修が構築されていることをご理解ください。
 この細則によれば、サブスぺシャルティ専門医とは、当該基本領域の標準的医療が提供できる能力を保持しつつ、特化されたサブスペシャルティ領域において、より高度な専門的教育研修を受け、その領域の診療に関してより精通した医師と定義されています。外科領域では6サブスペシャルティ領域で必要な外科診療内容をほぼ網羅しています。呼吸器外科領域は外科専門医資格を取得後に呼吸器外科の専門医研修を行う方式とともに、外科専門医研修中から呼吸器外科研修を並行して行う連動型の研修も選択可能です。
 専門研修には「経験すべき症例を定め、一定数の症例経験を確保すること」が必要とされます。呼吸器外科専門医の新規申請に必要な手術経験は術者60例以上、助手120例以上であり、疾患別の必要経験症例数などは別途定められています。毎年、専門医試験受験時に提出される手術実績の平均は術者、助手ともに必要経験症例を大きく上回っています。加えて肺癌の手術に関しても開胸と胸腔鏡がバランス良く経験されており、指導者の配慮が想像できる結果です。「何例」という課題に注意が向きがちですが、「何ができるようになったか」という視点で自己評価することも大事と思います。「専門研修の修了基準が明確かつ客観的であること」とは技術の到達すべきレベルを専攻医にイメージさせることであり、指導医にも臨床現場とoff the job trainingの両方で留意していただきたいです。
 日本呼吸器外科学会は教育事業として、2016年に刊行した呼吸器外科テキストの改訂を行っています。加えて、呼吸器外科セミナー、サマースクール、胸腔鏡セミナー、手術手技アドバンストセミナーを開催しています。残念ながら新型コロナウイルス感染の影響で、集合型の講習を設定しにくくなっていますが、学修機会が延期になっても、猶予措置を策定し専門医資格取得に不利にならぬよう配慮します。
 施設とともに学会間(日本外科学会、日本胸部外科学会、日本呼吸器外科学会など)、日本専門医機構が連携しながら研修支援を行っていきます。学術集会のweb化の比率も高まることが予想され、e-ラーニングシステムの構築も学会の優先的な課題であります。学会として指導の工夫や教育コンテンツの開発を含め、ソフト、ハードの両面で研修環境を整備していくつもりです。

2.心臓血管外科専門医制度の最新情報

心臓血管外科専門医認定機構代表幹事
 種本 和雄
更新期限の一律1年延長について

 新型コロナウイルス蔓延が未だ収束の兆しを見せない中で、臨床現場では‘不急’の手術の延期などで予定した手術経験が重ねられない、また多くの学会が中止・延期となって必要な学会発表、学会参加、セミナー参加などが出来ない、との切実な訴えが聞こえておりました。心臓血管外科専門医認定機構としては、日々の負担が増している臨床現場を支援する目的も込めて、現在専門医資格を有しておられる方(2020年12月31日~2024年12月31日に有効期限を迎える心臓血管外科専門医資格)の更新期限を一律1年延長することを決定しました。今年更新期限を迎えられる方の場合には来年に更新手続きを取って頂ければ結構です。ご存知の通り心臓血管外科専門医は外科専門医と連動更新する仕組みとなっていますが、日本外科学会からも賛同を頂いて、心臓血管外科専門医更新期限が延長となった場合には外科専門医も同じ措置を取ることが認められております。もちろん、更新することによって修練指導者資格が取得できるなどの理由で本年の更新を希望される方に対しては、例年通りに更新申請を受け付けて審査を行います。来年以降も同様です。学会やセミナーはWebで開催され始めており、ここまでの措置が必要かという議論はありましたが、新型コロナウイルス蔓延は長期化することが懸念されており、今後の事態にも対応できるように、思い切った対策を取りました。早期に感染蔓延が収束して、今回取った対応で十分であったと言えるようになることを祈っています。
新専門医制度への対応
 厚生労働省医道審議会医師分科会医師専門研修部会でサブスペシャルティ専門医制度について議論が進んでおりましたが、「サブスペシャルティ領域の在り方に関するワーキンググループ」でサブスペシャルティ専門研修について検討され、結論としては心臓血管外科を始めとした外科5サブスぺシャルティに関しては、2年間オーバーラップの連動研修が認められることになりました。外科サブスペシャルティ領域一丸となって要望してきたことが認められることになり、ひと安心というところです。
 しかしながら、6月30日の日本専門医機構の発表では「サブスペシャルティ専門研修について、(中略)新型コロナ感染拡大により、1年延期して2022年4月から認定を開始」とされました。新専門医制度のトップランナーである2016年医学部卒の専攻医は、2021年3月に外科専門研修を終える予定で、2年間連動研修とすると2022年3月には心臓血管外科専門研修も修了していることになります。医道審議会の中では「すでに連動研修を前提として研修を行っている専攻医が不利益を被らないように(中略)対応をとる。」と決議されていますので、是非ともこのトップランナーの専攻医たちのために一日でも早い制度のスタートを主張していきたいと思います。
 幸いにも先生方にお願いいたしました新専門医制度での施設群の構成について、順調にお届け頂いておりますので、何時でも整備基準を申請する準備は出来ております。日本専門医機構の方で対応が決まり次第、早急に申請して遡りの形でサブスペシャルティ専門研修の開始を認めてもらえるようにしたいと考えています。
 今後とも心臓血管外科専門医認定機構の活動にご支援、ご協力をよろしくお願いします。

3.専門医申請案内

心臓血管外科専門医申請のご案内
1.新規申請
  申請期間:2020年7月1日~8月31日(締め切り必着)
  書類審査の後、12月24日(木)東京国際フォーラム(ホールB7)にて
  筆答試験があります(実施日・会場が変更になりましたのでご注意ください)。
2.更新申請
  心臓血管外科専門医更新期限を1年延長する措置を行っております。
  5年での更新を希望する方は、例年通り更新申請を受け付けております。
   対象者:心臓血管外科専門医認定期間が2020年12月31日までの方
   申請期間:2020年7月1日~8月31日(締め切り必着)
   業績:2015年9月1日~2020年8月31日までのもの
3.再取得申請
  対象者:過去に心臓血管外科専門医であった方で、同資格の再取得を目指す方
  申請期間:2020年7月1日~8月31日(締め切り必着)
4.認定登録医申請
  対象者:専門医更新時に「手術症例数」のみ不足していて更新の叶わなかった方
  申請期間:2020年7月1日~11月10日(締め切り必着)
詳細については、心臓血管外科専門医認定機構HPをご覧ください。

呼吸器外科専門医申請のご案内
1.新規申請
  申請期間:2020年7月1日~8月25日(必着)
  書類審査の後、11月6日(金)ホテルグランドパレス(2Fダイヤモンド)にて
  筆答試験があります。
2.更新申請
  申請期間:2020年6月1日~6月30日
詳細については、呼吸器外科専門医合同委員会HPをご覧ください。

食道外科専門医申請のご案内
1.新規申請
  受付期間:2020年6月1日~7月31日(午後5時必着)
  書類審査およびビデオ審査の後、筆記試験・口頭試問が11月21日(土)にあります。
2. 更新申請
  受付期間:2020年8月3日~8月31日(午後5時必着) 
詳細については、日本食道学会HPをご覧ください。

編集後記
広報委員会副委員長 竹内 裕也
 2020年は東京オリンピックの開催で日本中が盛り上がる、明るい一年を誰もが期待されていたと思います。ふたを開けてみればこの8か月、新型コロナウイルス感染症という未曽有の事態に世界が直面し、会員の先生方も大きな不安を抱えながら日々診療にあたっておられることと存じます。
 この未知のウイルスは、これまでの医療、社会、経済、教育の仕組みを大きく変え、また人と人との繋がりを分断しようとしています。日本胸部外科学会も学術集会や地方会、専門医制度等に様々な影響が出ており、会員の先生方には大変なご心配とご苦労をおかけしております。
 いまだこの感染症の収束が見通せない中、本学会も新しい時代に臨機応変に対応していく必要があります。とにかく患者さんファースト、そしてピンチをチャンスに変え、学術団体としてのアクティビティをこれまでと違う視点からさらに発展させることが重要です。会員の先生方にはできるだけ迅速に、かつ正確な学会情報をこれからもお届けするように努めたいと思います。
 会員同士、なかなか対面で会う機会もありませんが、こんな時代だからこそ皆が繋がってワンチームでなければなりません。日本胸部外科学会におけるニューノーマル、少しワクワクしてきました。
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