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No.682022年9月号)

INDEX

1.第75回日本胸部外科学会定期学術集会開催にあたって-協奏する胸部外科-
  統括会長、分野会長挨拶
2.胸部外科のcrossoverを目指して〜JATS-NEXT発足を通してみる将来構想〜
3.JATS Research Project Award 5年目の結実について
4.フェローシップ受賞者留学体験記
5.2022年度第4回理事会ニュース

1.第75回日本胸部外科学会定期学術集会開催にあたって-協奏する胸部外科-
  統括会長、分野会長挨拶

【中島 淳 統括会長(呼吸器)挨拶】
はじめに
 第75回日本胸部外科学会定期学術集会を2022年10月5日(水)から10月8日(土)にわたりパシフィコ横浜において開催いたします。伝統ある本会の会長を拝命し、大変光栄に存じます。分野会長の荻野均先生、松原久裕先生と協力し、実りある学術集会を開催させていただきます。
 本学会は心臓大血管・呼吸器・食道の3分野の学術発展はもとより、共通目標の課題解決とその実践を目的として、3分野の適切なバランスのもとに運営されてきました。定期学術集会は日本胸部外科学会で最も重要な活動ですが、2年前から会長と他の2分野の分野会長の協力のもとに準備と開催運営が行われるようになりました。
 第73回、第74回定期学術集会は新型コロナウィルス感染症流行のため、多くの会員の方々が現地での参加が困難な状況でしたが、碓氷会長、志水会長をはじめとする学会運営に携わる会員・事務局のご尽力でライブ・オンデマンドを駆使した新しい形態による開催を成功させました。この原稿を書いている8月初旬では日本の1日あたり感染者数が世界1位という厳しい状況にありますが、第75回開催までには流行も落ち着き現地参加が可能となることを期待しています。一方コロナ禍で定着してきた、オンラインを利用した新たな開催形式も十分活用したいと思います。現地でのご参加が困難な会員の方々に向けてオンデマンドで重要な講演を配信させていただきます。

本学術集会のテーマとプログラム基本構成
 第75回学術集会のテーマは「協奏する胸部外科」です。本学会を構成する3分野の医師・医学者が同じ胸部の疾患を有する患者さんを適切に治療するために、お互いの技量を高め、知見を新たにする目的をもって集う学術集会です。分野を超えた知識・技術を共有し協力するとともに、外科という技をお互いが切磋琢磨して高めていくことが望まれます。
 本テーマの「協奏」は共有・協力・そして競争の意味を込めたものですが、これに基づいて、昨年からプログラム委員の先生方にご協力・ご指導を仰ぎ、様々なプログラム企画を考案いたしました。3分野それぞれの専門性の高いトピックスについてはもちろん、各分野に共通した課題をシンポジウム、パネルディスカッションなどの上級演題として設定いたしました。具体的には領域横断分野では8、心臓血管では43、呼吸器では13,そして食道では9の上級セッションを設けました。
 「協奏する胸部外科」という本学術集会のテーマに基づき、特に3領域横断では大動脈食道瘻、3領域複合手術、低侵襲手術など、領域を超えた協力が必要な手術手技あるいは他領域で行われている技術の専門領域への応用について興味と理解を深めていただけるセッションを設けました。新型コロナ時代の胸部外科、新しい画像診断法、臨床研究の立案・進め方など、時代に即応した3領域に共通する問題を扱わせていただきます。そしてDeveloping the academic surgeonsでは特に若手の会員にプログラム立案から積極的に参加いただき、若手胸部外科医のキャリアパス形成に役立つ斬新な発表と討議が行われることを期待しています。
 上級演題公募および一般演題は、応募演題を3~5名の査読者の厳正な評価に基づいて採否を決定し、上級演題・一般口演・ポスターに配分しました。上級演題および一般口演は10会場および展示ホールに設けた多目的会場にて発表されます。一般口演およびポスターの中からそれぞれ優秀演題およびベストポスター・優秀ポスターを選び顕彰いたします。

特別講演
 直近2回の学術集会に倣い、会長講演、分野会長講演、理事長講演、4学会理事長対談を行います。ここでは本学会の歴史、現在の問題、および今後のあるべき姿について語っていたきます。特別講演はShaf Keshavjee先生、小林紘一先生と谷口維紹先生にご依頼いたしました。Keshavjee先生はトロント大学胸部外科教授であり、2022年のAmerican Association for Thoracic Surgery(AATS)の会長を務められました。特に肺移植の臨床・研究においては世界のリーダーシップを取られており、Academic surgeonとしてのご自身の体験と成果を交え、特に若手の胸部外科医へのメッセージをいただけると期待しています。小林紘一先生は慶應義塾大学呼吸器外科学名誉教授であり、本学会の初代理事長を務められました。日本胸部外科学会が法人化された経緯、そして学会のあるべき姿についてお話をいただきます。谷口維紹先生は東京大学名誉教授であり、免疫学をご専門にされています。数々の重要な業績を残され昨年瑞宝重光章を受章されました。谷口先生はご専門とされる免疫学はもちろんのこと、自然科学全般から音楽に至るまで広い教養をお持ちであり、講演では学会の皆様に医学者としての心構えを示していただけることと思います。
 海外の高名な胸部外科医42名を講演に招待いたしました。多くの先生方は横浜で現地参加され、講演および討議を通じて交流を深めることを期待しております。

委員会特別企画
 各委員会において準備いただいた数々のセッションにもぜひご参加願います。
 委員会企画としては地方会のあり方委員会によるCase Presentation Awardを一昨年・昨年に引き続き10月5日に現地で開催いたします。地方会との連携を深め、若手医師の発表の場としての若手医師はもちろんのこと、指導医の先生方の積極的なご参加を期待いたします。倫理・安全管理委員会による医療安全講習会では東邦大学微生物・感染学講座の舘田一博先生と群馬大学医療の質・安全学の小松康宏先生を講師に招き、それぞれCOVID-19感染対策およびShared decision makingについて10月5日にご講演いただきます。専門医制度委員会、労働環境委員会・男女共同参画WG、国際委員会によるホームカミングセッションを予定しております。

AATSとの共催によるMitral Conclave
 American Association for Thoracic Surgery (AATS)との共催によるMitral Conclaveを10月8日に1会場、1日通しで開催いたします。AATSとの共催としては、第72回学術集会終了翌日に開催されたAortic symposium以来ですが、今年はAATS側から講演者が会場に直接参加され、in faceでのディスカッションが行われる予定です。

JATS-NEXT企画、その他企画について
 展示会場に特設会場を設け、口演の発表の一部、最優秀・優秀ポスター賞の発表が行われますが、若手会員が所属するJATS-NEXTの企画会場、企業との共催によるWet Laboを企業展示と併せて開催しますので、ぜひ会期中に訪れますようお願いいたします。
 関連学会・研究会による集会が10月6日・7日の夕刻に、また企業のスポンサードセミナーが会期中に多数開かれます。ご興味のある方はこちらにも参加いただけますようお願い申し上げます。

演題応募状況と開催形式
 第75回学術集会には、会員の皆様から多数の演題応募をいただき感謝申し上げます。全部で1,266題の応募をいただきました。内訳は領域横断が96題、心臓大血管707題、呼吸器398題、食道65題でした。このうち上級セッションへの応募は457題(領域横断72、心臓血管252、呼吸器112、食道21)でした。上級演題、一般口演、およびクリニカルビデオを加えた採択率は領域横断50.0%、心臓血管47.4%、呼吸器36.7%、食道67.7%となりました。
 先に述べましたように、本学術集会は現地開催を主としますが、一部オンデマンドを組み合わせるようにいたしました。Postgraduate course、一般ポスターセッションはオンデマンドだけで開催いたします。上級演題の一部、学会企画の医療安全講習会など専門医認定機構の単位取得に必要な講演は現地開催とオンデマンドの両方の参加が可能です。

おわりに
 今後さらに新型コロナウィルス感染症が蔓延して政府の方針が変更された場合には、開催形態を変更せざるを得ない場合があります。本学術集会を成功させるためには、何よりも会員の皆様のご参加・ご協力が一番大切です。何卒よろしくお願い申し上げます。

No.68(2022.9)_nakajima(160×190).png (50 KB) 中島 淳
所属:東京大学大学院医学系研究科呼吸器外科学
卒業:東京大学(1982年)
経歴:1982年 東京大学医学部附属病院 研修医
   1984年 国立療養所東京病院外科
   1986年 東京大学医学部附属病院胸部外科
   1992年 学位取得
   1992年 米国 Washington University胸部外科 リサーチフェロー
   1993年 東京大学医学部附属病院胸部外科 助手
   1998年 同 講師
   2001年 東京大学大学院医学系研究科呼吸器外科学 助教授
   2011年 同 教授
   2019年  東京大学医学部附属病院 副院長
趣味:ピアノ演奏

【荻野 均 分野会長(心臓)挨拶】
-心臓領域を代表して、自負と共にー

 第75回日本胸部外科学会学術集会におきまして、心臓分野会長として伝統ある本学術集会を担当させていただくことはこの上ない栄誉であり、皆様に心から感謝いたします。
 今回のテーマである「協奏する胸部外科」は、重要臓器を扱うエリート外科医集団として、胸部外科医がその独自性や特徴を発揮するための方向性を示すものと信じます。本学会は各専門領域学会の上流に位置する基幹学会として長い歴史を経て発展して参りました。AATS/STSおよびEACTSのカウンターパートとして、国際性の堅持と共に、本邦の胸部外科領域の臨床・研究の発展、外科医の育成、国民の健康保持への貢献などを主要命題に、外科離れ、処遇問題、働き方改革、医療体制を含め社会全体を大きく変えたコロナパンデミックなど直面する重要課題に一致団結して取り組む必要があります。その主たる場が学術集会であり、国内外からの参加者の熱い議論に期待を寄せております。
 心臓領域では、最新、再考、多様性、国際性、教育・育成をキーワードにプログラムの編成に臨みました。7~10名からなる部門を13部門組織し、オールジャパン体制で議論を重ね本学会の心臓領域にふさわしいプログラムを作成しました。全ての会議に参加しましたが、海外のメンバーのWEB参加もあり、「学術集会の前哨戦」と言えるほど質の高い議論が交わされ、メンバーの皆様には深く感謝いたします。最終的に、シンポジウム 7、パネルディスカッション 8、ワークショップ 10、テクノアカデミー 6、ディベート 12の上級セッション(指定159演題、公募66演題、公募採択率9.3%、WEB開催の可能性を鑑み指定を多めに配分)に加え、269演題の一般口演(採択率 38.0%)、225演題のポスターを選出しました。
 領域横断の心臓領域関連では、(ロボット手術をはじめ、先を行く肺・食道領域から学ぶ)低侵襲手術、(手術に直結する)最新の画像診断・評価技術、(ビッグデータから学ぶ)臨床研究への取り組み、(手術と研究の二刀流たる)Developing academic surgeonへの道のり、(食道外科医と直論する)大動脈食道瘻治療などについて、心臓単独では、「最新」をテーマに、(外科の永遠の課題である)低侵襲手術、(外科手術の対峙たる)カテーテル治療との対比、(カテーテル治療と共存する)外科手術の新たな展開、(ますます進化・発展する)弁形成・修復術、(本邦発信で、今や国際的トレンドとなった)Frozen elephant trunk法、(循環器診療の根幹たる)ショックに対する循環補助、(半世紀を経て今なお進化する)心停止後心による心移植やDT時代のVAD治療、などについて議論を交わします。他方、「再考」の観点から、(長期予後を見据えた)CABGとグラフトデザイン、(まだまだ議論の尽きない)先天性姑息術・根治術、(そろそろはっきりさせたい)Maze手術のノウハウ、(弁形成・温存と比べ決して悪くない)弁置換術、(心臓外科の根幹たる)心筋保護、(MICS/ロボット手術を支える)体外循環の安全性などについて深く掘り下げます。さらに、(心臓外科の未来を変えうる)女性心臓外科医からの提言、(発展し続ける)再生医療、(まだまだ目指すべき)海外留学・修練、(急速な発展を遂げる)アジア諸国の先天性心臓外科医との交流など、多様性と国際性の面で刺激を受けながら、垣間見、新たな知見を得るには格好の場と言えるでしょう。
 また今回の目玉として、本年は若手・中堅からなる「JATS-NEXT」の誕生元年であり、展示ホールにwet laboとdry laboのコーナーを設け、私自身が担当の「JATS Academy」のOJTプログラムを展開します。若手・中堅外科医にとって、頭と手の両面で実りある「未来型の学術集会」になれば幸いです。更に最終日には、特別国際プログラムとして、第一回AATS/JATS Mitral Conclave Workshopを開催予定です。欧州からのWEB Live口演も加え、「世界の今」が感じられる一日にしたいとの思いで、David Adams先生と荒井裕国先生の協力を得ながら準備に入っております。
 以上、心臓領域プログラムを通して、昨今の細分化された心臓領域におきましても、まさに「協奏する心臓外科」を重要な学術集会テーマと捉え、心臓領域の明るい未来に向け、そのタクトをふる覚悟でおります。
 最後に、今回の「協奏する胸部外科」では、各領域が切磋琢磨し輝かしい未来に向け更なる発展を期す記念すべき学術集会をめざしております。39年前、神戸の地で「胸部心臓血管外科医」としてスタートした私の心臓外科医人生の集大成をとの思いで準備いたしました。皆様、奮ってご参加いただき、よく学び、そして存分に楽しんでいただけば幸いです。

No.68(2022.9)_ogino(160×190).jpg (8 KB) 荻野 均
所属施設:東京医科大学 心臓血管外科学分野(主任教授)
卒業大学:広島大学
経歴:
1982年 神戸市立中央市民病院胸部心臓血管外科 研修医・専攻医
   1987年 京都大学心臓血管外科 医員
   1991年 武田病院心臓血管外科 医員
   1992年 Harefield病院心臓胸部外科 senior registrar
   1994年 天理よろづ相談所病院心臓血管外科 医員・副部長
   2000年 国立循環器病研究センター心臓血管外科 医長・部長
   2011年 東京医科大学心臓血管外科 主任教授
趣味:スポーツ全般、ドライブ・旅行、神社仏閣巡り、家事手伝い
好きな言葉:Be the best you can be、為さざるなり、能わざるにあらざるなり

【松原 久裕 分野会長(食道)挨拶】
-食道外科医が胸部外科学会で学ぶ意義ー

 この度、第75回日本胸部外科学会定期学術集会分野会長(食道)を拝命致しました千葉大学の松原久裕です。たいへん歴史ある本学会の分野会長をたいへん光栄に存じております。貴重な機会を与えて頂いた本学会役員、会員の皆様に心より感謝申し上げます。第75回日本胸部外科学会定期学術集会統括会長である中島淳会長をできるだけ補佐しながら、実りある本定期学術集会となるべく成功へ向け、尽力しております。本学術集会のテーマは中島会長の提案により「協奏する胸部外科」というたいへん魅力的な、また3分野が協調して活動する本学会にまさに最適のテーマです。ポスターには協奏するオーケストラが描かれており、会員各位がそれぞれ魅力ある音を奏でてその集合体として、本学術集会が極めて魅惑的な成果を得られるものになると確信しております。食道外科医が胸部外科学会に参加する意義に関し、疑問を呈する声も少なからず存在します。しかしながら、以前にも増して消化器外科を専門とする食道外科医が多数を占める現在こそ、食道外科医にとって今まで以上に重要臓器が存在する胸部縦隔の精緻な手技を同じ部位を操作する心臓外科、呼吸器外科から多くの事を学べ、さらに共同での治療が必要な疾患・病態への対応のさらなる開発を展開できる本学会の重要性はますます増していると思っております。すでに中島統括会長から紹介があったと思いますが本学会ならではの領域横断セッションに力を入れ、中島統括会長、荻野分野会長とともに協力し、たいへん興味深いテーマを設定しております。
 食道分野に関してはプログラム委員の先生方と検討を重ね、また、国際食道疾患会議ととともに開催される予定のため通常の開催時期と異なり本学会開催まで1ヶ月も間隔がない時期に開催される第76回日本食道学会学術集会会長の島田英昭先生とも調整を行い、本学会は食道外科手術に重点をおいたテーマを設定するように致しました。上級セッションの司会・座長はシンポジウム「これまでの食道外科手術を未来にどう生かすか」は土岐祐一郎、竹内裕也両先生に御願いし、ビデオシンポジウム「進行胸部食道癌に対するMIEの適応と工夫」は北川雄光、安田卓司両先生に、パネルディスカッション「鏡視下、ロボット支援下手術時代の開胸手技の意義」を丹黒章、村上健太郎両先生に、ワークショップ「Health-related Quality of Lifeからみた食道癌手術のbest practice」は藤也寸志、渡邊雅之両先生に、「cT3b症例の治療戦略」は山崎誠、上野正紀両先生に、ビデオワークショップ「ロボット特有の手技を活かした食道癌手術」は亀井尚、七戸俊明両先生に御願いしております。ディベート「食道再建経路 胸骨後 vs 後縦隔」は本山悟、佐伯浩司両先生に、恒例のテクノアカデミー「食道外科専門医:手術ビデオ審査のポイント」は大幸宏幸、二宮致両先生に御願いしてあります。また、特別企画として皆様が注目されている2022年発刊予定の「食道癌取扱い規約 第12版の解説」を食道癌取扱い規約委員長であり、食道学会理事長の土岐祐一郎先生に御願いしております。いずれも時機を得たたいへん興味深いテーマだと思います。
 COVID-19が第7波を迎え、不透明な状況下での開催準備となっておりますが中島会長を中心に荻野均分野会長とともに協力して、何度も会長会議を開催し、現地開催を目指し準備を進めております。開催時にはワクチン接種も十分に行き渡り、感染状況も落ち着いていると信じております。学術集会の最も重要であり、醍醐味のある活発な討論が現地開催により、すべての会場で繰り広げられることを心より期待しております。是非、多数の会員皆様が会場に足を運んで頂き、繰り返しになりますが熱のこもった討論が多くの会場で展開されることを熱望して、挨拶の言葉に代えさせて頂きます。

No.68(2022.9)_matsubara(160×177).png (38 KB) 松原 久裕
所属施設:千葉大学大学院医学研究院 先端応用外科
卒業大学:千葉大学(1984年)

経歴:1984年 千葉大学医学部附属病院(第2外科)研修医
   1991年 千葉大学大学院医学研究科博士課程(外科系)修了
   1996年 千葉大学医学部附属病院助手(第2外科)
   2000年 文部省在外研究員(University of California,San Diego及びJohns Hopkins University外科)
   2002年 千葉大学大学院医学研究院講師(先端応用外科学)
   2007年 同教授
   2013年 千葉大学医学部附属病院 副病院長
   2021年 千葉大学大学院医学研究院長・医学部長
趣味:水泳、スキー、音楽鑑賞

2.胸部外科のcrossoverを目指して〜JATS-NEXT発足を通してみる将来構想〜

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日本胸部外科学会JATS-NEXT委員会
兵庫医科大学呼吸器外科 竹ヶ原 京志郎(前列左から2番目、その右隣は澤理事長)

 この度、令和4年6月17日(金)から18日(土)にわたってアクトシティ浜松で開催されました第65回関西胸部外科学会学術集会において、分野横断の若手企画シンポジウムとして、日本胸部外科学会JATS-NEXT委員会から『胸部外科のcrossoverを目指して〜JATS-NEXT発足を通してみる将来構想〜』と題し、発表・ディスカッションをする機会を頂きました。
 これまで日本胸部外科学会では、心臓・呼吸器・食道の三領域が横断的に活動する機会は限られておりましたが、令和3年度の定期学術集会において、若手および中堅の外科医を対象として、三領域の横のつながりを強固にし、胸部外科の発展の一役を担うためのリーダーとなる人材を育成することを目的とした、「日本胸部外科学会JATS-NEXT」の発足が宣言されました。本シンポジウムは、JATS-NEXT発足の経緯と意義を皆様に発信すること、そして心臓・呼吸器・食道の三領域の先生方にご登壇頂き、それぞれの立場から今後の展望、他学会の若手組織との差異を踏まえた上でJATS-NEXTだからこそできること、さらに現状と課題に関して、事前アンケートをもとに参加者の皆様方と意見交換し、黎明期のJATS-NEXTの方向性を見出すことを目的として立案致しました。
 事前アンケートは50歳以下の日本胸部外科学会員3,324名を対象に、令和4年2月21日〜3月23日までの期間で、無記名でのインターネット上のアンケートを使用し実施致しました。有効回答数は1,059名で、31.9%もの先生方からご回答を頂きました。会場では非常に多くの参加者の方々と白熱したディスカッションを行うことができ、特にキャリア形成や労働環境のパートにおいては各領域の共通点、相違点が浮き彫りになり、三領域が互いの現状を知り、足並みを揃えていくという点で有意義であったと感じました。
 今後の活動に関しましても、本アンケートでJATS-NEXTに期待することとして挙がった技術・学術的な支援や領域横断的なハンズオンセミナーをはじめとして、指導医講習会や国際交流などの企画に関して、先日選出されました地方会コアメンバー、そして我々JATS-NEXT委員会で議論しております。今後の定期学術集会や地方会に加え、JATS-NEXT主催の学術集会等で実現に向けて努力して参りますので、JATS-NEXT世代並びにベテランの先生方におかれましては引き続きご協力の程よろしくお願い致します。
 最後になりましたが、本企画及び学術集会に際し多大なるご協力を賜りました日本胸部外科学会理事長の澤芳樹先生、並びに第65回関西胸部外科学会学術集会会長の椎谷紀彦先生、船井和仁先生、竹内裕也先生および関係各所の皆様方にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
 発表内容・アンケート結果の詳細につきましては、改めて論文化し報告させて頂きますとともに、こちらをご覧頂けますと幸いです。

3.JATS Research Project Award 5年目の結実について

研究・教育委員会 前委員長 荻野 均/委員長 岡田 健次

 本学会は中堅・若手胸部外科医の研究志向の向上を目指し、2018年度に研究助成プロジェクト『JATS Research Project Award』を設立。以下の二つのAwardを設立し、臨床および基礎研究の両輪で会員の研究活動の支援に取り組んで参りました。
 ・JATS award for transitional clinical research(臨床研究助成)
  研究期間:3年 支援額:100万円 選出数:1件
 ・JATS award for young investigators(若手胸部外科医研究助成)
  研究期間:2年 支援額: 50万円 選出数:心臓1件、肺1件、食道1件
 本年で第5回を迎え、これまでの応募数(27→22→35→51→47)からも中堅・若手胸部外科医の意欲の高さが伺えるところです。
 さらに、受賞者は研究結果を学術集会で発表および学会誌GTCSへ投稿することまでが義務となっておりますが、第1回JATS award for young investigatorsの受賞研究の中から以下の2論文が掲載となりました。当Awardの審査とは別に、会誌編集委員会の厳格な査読を頂いての掲載でございます。取り組みが遂に結実した形となり、審査を行う委員会の担当として喜びに堪えません。
 来年も第6回の募集があることと存じます。中堅・若手胸部外科医の皆様の奮ってのご応募お待ちしております。

第1回JATS award for young investigators 受賞者

椎名 裕樹 先生(千葉大学医学部附属病院 呼吸器外科)
Antibodies against complement component C5 prevent antibody-mediated rejection after lung transplantation in murine orthotopic models with skin-graft-induced pre-sensitization

井上 聖也 先生(徳島大学大学院 胸部・内分泌・腫瘍外科学分野)
Biomarkers predicting the response to chemotherapy and the prognosis in patients with esophageal squamous cell carcinoma
会員ページからアクセス頂くと全文が閲覧できます。

4.フェローシップ受賞者留学体験記

2019年度JATS/AATS Foundation Fellowship(心臓血管外科分野)
Emory University Hospital Midtown / Emory Saint Joseph's Hospital, Atlanta, USA 板垣 翔

 この度、2019年度JATS/AATS Foundation Fellowshipにより米国ジョージア州アトランタにありますEmory University、Emory Midtown Hospital及びEmory Saint Joseph's Hospitalにて短期留学をさせて頂きました。
 まずFellowship応募に際して考えた事は、自身の留学経験としてドイツ留学を行い欧州の臨床・教育システム及び研究環境に関しては体感していましたが、北米における留学環境や臨床現場の運用システムなどについては経験がなく、その風土や文化、慣習などを含めて新たな経験を得たいと考えました。また、昨今議論となる心臓血管外科医にとっての臨床留学の意義を考えた際、漠然と描く欧米の臨床を経験するという事ではなく、「authority surgeonの手技」「最新デバイス・手技の知見」「インフラ設備等ハード面での知見」というパートに焦点を置いた研修先選択をした結果、Emory Universityを選ばせて頂きました。本制度からも2017年度の高橋陽介先生、2018年度の木下武先生がEmoryに留学されており生活環境のスタートアップのための情報収集がしやすい事も選択理由の一つとなりました。また、準備期間としては限りある滞在期間が最大限のものとなる様、直近のEmoryからの論文報告を一通り読んだり、Emory 関連に留学された先生方とのコンタクト、領域問わずロボット手術手技を画像コンテンツ等で確認したり、Intuitive社トレーニングセンターでの実機トレーニングを毎週行う等しておりました。実際の滞在では世界的なRobotic僧帽弁手術の先駆者であるDouglas Murphy先生による手術をほぼ毎日体感し、また胸部心臓外科のchiefであるMichael Halkos先生によるRobitic support下MIDCABも週に複数例見学する事が出来ました。最も印象的であった点は、通常開心術や右開胸MICS以上に術者の研鑽のみが診療品質の向上に寄与するフィールドでなく、多職種を含むチーム全体が多面的な課題と向き合いながら解決し経験重ねていく必要があるという事でした。そのような充実した研修期間を過ごす最中、COVID19パンデミックにより米国内非常事態宣言からアトランタ市もロックダウンとなり、日本への緊急帰国を余儀なくされました。最終的には予定滞在期間より短い研修となりましたが、母国でない場所において100年に一度の地球的規模の大災害を経験し、またそれに対する大国の対応を目の当たりにした事は非常に刺激的で貴重な経験でありました。
 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった胸部外科学会の諸先輩の方々および会員の皆様、そしてJATS/AATS Foundation Fellowshipをサポートしてくださいました日本メドトロニック社の関係各位に心より御礼申し上げます。

No.68(2022.9)_itagaki(160×190).jpg (6 KB) 板垣 翔
所属施設・役職:日本大学医学部 心臓血管外科 准教授
卒業大学:東京慈恵会医科大学
経歴:2007年 上尾中央総合病院 臨床研修医
   2009年 自治医科大学さいたま医療センター 心臓血管外科
   2012年 University Heart Center Hamburg, Germany
   2014年 自治医科大学さいたま医療センター 心臓血管外科 助教
   2018年 都立墨東病院 心臓血管外科
   2020年 自治医科大学病院 心臓血管外科 講師
   2021年 日本大学医学部 心臓血管外科 准教授
趣味:ワークアウト、瞑想
好きな言葉:悪魔の様に細心に天使のように大胆に


5.2022年度第4回理事会ニュース

開催日時:2022年3月29日(木)13:00~17:00
開催会場/方法:日本橋ライフサイエンスビル201大会議室/Hybrid開催

理事会・委員会審議及び報告の件
1.理事会
審議事項1)第3回サブスペシャルティ学会理事長協議:「学術集会の在り方」の新たなコンセプト案「学術集会がHybrid開催で費用がかかるため日本外科学会でコンベンション法人を設立し費用を抑える」が報告され検討された。投資額・リスクが高すぎるとの意見が出され、具体的方策は決まらなかったことが報告され、本会でも同意見が出された。
2)日本外科学会からの会頭選出に関する回答:5学会(本会、日本心臓血管外科学会、日本呼吸器外科学会、日本小児外科学会、日本血管外科学会)からの要望「特定領域以外の領域からの日本外科学会会頭選出の機会が3年に1回あってもよいのではないか」に日本外科学会から回答「3年続けて同一のサプスペシャルティ領域が会頭を務めない方針とする」が届いたことが報告され、今後、リーダーシップMTG等で議論をする。
審議事項(分担金)1)令和3年度肺癌登録合同委員会運営分担金、2)令和3年度肺移植関連学会協議会分担金、3)令和4年度社員会費(一般社団法人日本医療安全調査機構)が例年どおり承認された。
報告事項1)NCD社員総会報告:1.理事の選任、2.専門医制度委員会の廃止、3.日本外科学会からNCDにがん登録のCRF仕様利用の要望は前向きに進めるとの回答があり、サブスペシャルティ領域への周知依頼があった(システム改修要望提出期限、最終調整期間での大幅な仕様の変更・追加は行わないこと)。
2)医療体制逼迫時の延期を検討しうる予定手術の例(案):厚生労働省より項目の再確認があり、心臓血管外科領域で動脈瘤に関し再度要望を行った。
3)日本循環器学会・心臓移植委員会報告:両者が保有している心臓移植に関するデータを共有利用・連携する協議が始められたことが報告された。
4)日本循環器学会・循環器病対策基本法:循環器病対策推進基本計画の活動状況に関して、たたき台を纏めリーダーシップMTGで検討する。

2.総合将来計画委員会、3.専門医会員のあり方委員会
「専門医会員の在り方」の変更に関して財務WG・学術集会委員会で検討した議事録が提出・報告され、検討の結果、各事項が承認された。
1)専門医会員在り方の検討:専門医(心臓血管外科専門医・呼吸器外科専門医・消化器外科専門医)は自己申告にて専門医会員になること、会費を納めている限り継続とすること、評議員選挙権および被選挙権を有すること、専門医会員年会費を他学会と同等(一般会員と同額予定)とする方針とする。
2)上記を実現化するため財務WGおよび学術集会委員会での検討:会費が減収となるため、学術集会会場費等の開催費用の見直しを図ることが提案され承認された。本件は会員にアンケートをとり、その結果を総合将来計画委員会・理事会で最終確認し、評議員会に諮ることとする。また、学会全体で収支バランスを検討する必要があり、具体的には総務委員会で議論する提案がなされた。
3)Postgraduate Courseのあり方の確認と今後:研究・教育委員会で検討した議事録が提出・報告され、検討の結果、各事項が承認された。今後はすべてのPGCをオンデマンドで実施すること、Mitral ConclaveおよびAortic SymposiumはPGCをオンデマンドにすることで空く会期の中でPGCとは別に開催すること、学術集会日程の短縮と会場費削減に繋がる。

4.政策検討委員会
報告事項:本会記者会見「医師の働き方改革」に対する意識調査結果に関する説明会~医療・研究・教育の質の低下と胸部外科医不足を懸念~を本委員会委員・理事・監事の出席の下、オンラインで実施し(1/25開催)、マスコミ各社の参加があり医学系専門サイトや新聞に記事が掲載された。
医療現場の胸部外科医が求める「働き方改革」:1.恒久的な外科医不足を改善するためのマンパワーの充足、2.労働の効率化、3.国民の理解、4.厚生労働省と文部科学省の連携強化を提言した。今後、フリーコメントの解析をする予定である。
審議事項:「働き方改革」アンケート集計結果スライドを協力関連学会へ報告のため提供することが検討され承認された(各学会会員限定で閲覧)。今後、厚生労働省に要望書を提出する方針とするが、本会が纏めて提出することでコンセンサスが得られた。

5.専門医制度委員会
1)第75回定期学術集会時の専門医制度企画:テーマ「いよいよ始まった新専門医制度の概要と問題点」、演者:日本専門医機構理事長の寺本民生先生、HPで質問を募り質問に対する回答形式とすること、2)外科専門医試験スケジュール、3)サブスペシャルティ領域認定・更新に関する整備指針および4)サブスペシャルティ領域専門医認定試験整備指針:資料が提出され説明会が開催されることが報告された。
(1)心臓血管外科専門医認定機構
第2回心臓血管外科専門医認定機構総会議事録案(3/9開催)が提出され、新専門医制度/心臓血管外科専門医整備基準:日本専門医機構よりサブスペシャルティ領域整備基準の審査結果、新専門医制度/専攻医募集状況、循環器専門医取得優遇措置が報告された。
(2)呼吸器外科専門医合同委員会
1.呼吸器外科専門医申請時の手術実績の変更点、2.呼吸器外科専門研修制度整備基準、3.呼吸器外科専門医新制度に関するFQA、4.NCD専門医申請システム改修[審議事項]:従来と同様に費用はJATSとJACSの折半となることが了承された。1)手術実績抽出条件の変更、2)申請システムログイン制御の変更、3)開胸/胸腔鏡振り分け条件の修正、5.専門医資格の広告名称:「呼吸器外科専門医」(心臓血管外科専門医認定機構も同様に「心臓血管外科専門医」)、6.新専門医制度による専門研修施設(専門研修基幹施設および専門研修連携施設)申請が報告された。
(3)食道外科専門医
2021年度食道外科専門医新規申請19名合格(合格率65.5%)、2021年度食道外科専門医更新申請47名合格、2名保留、2022年度食道外科専門医新規申請が報告された。

6.専門医会員選出委員会
特段の報告なし。

7.選挙管理委員会
審議事項1)各地区分野別選挙評議員定数決定:2023年度評議員選挙定数表が提示され、検討の結果、地区別分野別で選挙評議員定員は400名とすることが承認された。
報告事項1)本年は選挙評議員選定の年となり有権者名簿を確定し各選挙区有権者数は2,910名となった。2)選挙公示:理事会において今回の選挙評議員定数は総数400名とし、各地区分野別の選挙評議員数を決定し、4/1付で有権者に立候補届出方法・選挙日程・各選挙区の選挙評議員定数を公示する。

8.推薦評議員候補者選考委員会
特段の報告なし。

9.会誌編集委員会
審議事項1)GTCS優秀論文賞選考過程:昨年同様2回に分けて審査すること、選考方法:2022年(2021年Vol.69 Original Article)選考概要、発表・表彰、選考委員、優秀論文賞の選考スケジュールが提出され承認された。
報告事項1)GTCS論文投稿・掲載状況(2/28現在):昨年末でCase Reportの新規採用は終了し未掲載および審査中が数件あるのみ、新規投稿数78編(Original Article58編/Case Report2編)、Accept27編(Original Article16編/Case Report5編)、Accept率(Original Article25%/Case Report20.8%)、投稿受付からAcceptまでの平均所要期間:途中改訂があった場合(著者による改訂期間を含まない平均審査所要期間)64.2days、途中改訂があった場合(著者による改訂期間を含んだ平均審査所要期間)93.3days、AcceptからOnline First掲載/冊子掲載までの平均所要期間:Accept~OF掲載22days/Accept~冊子掲載159days(Original Article22days/195days、Case Reports23days/115days)、掲載総数35編(Original Article17編/Case Report13編)。2)2021ACC/AHA/SCAI Coronary Revascularization Guidelinesに対するステートメント:2点問題があり反論を出したこと、発信元:日本心臓血管外科学会・日本冠動脈外科学会・本学会、Authorship:3学会理事長、Corresponding Author:澤理事長、まもなく3学会誌に同形式で同じものがPublishされることが報告された。

10.Case Report誌編集委員会
報告事項:第1回委員会議事録(2/15開催)が提出され報告された。今後のスケジュール:投稿サイトオープンは4月初旬、6月出版開始、Editorial:理事長および会誌編集委員会委員長が執筆、編集方針:初年度は会員に限り投稿料無料、Case Presentation Awards優秀演題・最優秀演題の掲載は義務化せず原則としてGTCCに投稿いただく(推奨)。投稿時にカバーレターにaward情報を記載する。
論文投稿見込:優秀演題・最優秀演題を併せて48編をAcceptすることを目指す。筆頭者・Corresponding Author:会員ページに無料番号が記載されておりそれを用いて投稿する。Online Journal表紙:Official Journal・Affiliated Journalとして関連学会のロゴが掲載される。

11.学術委員会
1)Annual Report2019:心臓領域で確認作業中、2)Annual Report2020:心臓領域で集計作業中、3)Annual Report2021:呼吸器領域・食道領域でテスト集計・予備集計・本番集計を予定、4)Annual Report2022:各領域・調査項目の確認検討、5)消化器外科データベース関連学会協議会への参加(確認):研究課題のエントリーが可能なパターンCに変更することが確認され本会としての公募企画を食道分野と協力し進めていく。

12.学術集会委員会
第2回委員会(3/28開催)の議題・資料が提出され報告された。学術集会の開催規模:総合将来計画委員会から学会財政を鑑み学術集会会計を検討する提案がなされ、第75回定期学術集会は総予算を再検討すること、また、毎年収支バランスの良い予算を図る。本委員会にて具体的に検討した結果が次の通り報告され、理事会で検討の結果、コンセンサスが共有され承認された。
1)会場費:調査比較資料が提出され、暫くは地方都市で開催し首都圏開催は様子を見る。1.今後の開催形態:Hybrid開催で費用が発生すること、オンデマンド配信(参加者は増加するが配信費用発生)は継続する方針とし動向を見ながら進めていく。2.開催都市・3分野会長制後の学術集会会場:適宜、本員会で検討する。同時通訳:基本英語発表とし、質疑は外国人は英語、日本人は日本語とすること、英語発表セッションを増やすことが提案され運用し効果を図る。
2)二重発表:HPでは未発表のオリジナル演題に限るとなっているが具体的基準を検討した。既発表演題と同じものは不可、上級演題は可、一般演題でも海外で英語で発表しているが日本語で最初の発表・追加データがあるもの・重大な副作用報告や周知する価値のあるものは可とする。3)共催セミナー映像の二次利用:学会会期終了後(オンデマンド配信終了後)に、出演者から承諾を得ること、目的・使用方法を明示すること、特別な収録は学会では対応はしないことで承認された。無償提供とする。4)メディカルスタッフの演題登録・発表:非会員でも応募を推奨する。
次の意見が出され検討する。1.開催費用:3分野会長および学会として組織化し対応するが、今後、学術集会支援委員会を検討する。2.優秀演題セッション(Abstract Award):第73回学術集会では実施したが、毎回実施する提案が出された。第75回も実施する予定であるが、本委員会でAbstract AwardからGTCSに掲載するまでの連続した流れを作ること、学会活性化のため検討していく。

第74回定期学術集会進捗報告
会計処理終了後、次回、理事会にて報告する。

第75回定期学術集会進捗報告
審議事項1)予算案・明細:収支のバランスをみながら進めていくことが報告され承認された。
二重投稿の規程、メディカルスタッフの演題登録:現演題募集要項に追加する。演題登録:2/15~4/19で一般演題を募集しており関係各位への周知依頼願がなされた。指定演題登録:4/4~6/30予定。Mitral Conclave開催スケジュール:10/8に開催予定である。マルファン・ネットワーク・ジャパンブース出展依頼:無償提供する。

AATS/JATS Joint Session:第76回学術集会の齋木会長から方針(Aortic Symposiumを開催予定)に関して質問が出され回答がなされた。1.第75回の際のMitral Conclave:「AATS/JATS Joint Session」とし、学術集会期間中に組み込む。2.趣意書:学術集会とは別とする。3.開催形態:今後、AATSと話し合いながら決定。4.費用:EU・アメリカはWEB中継、それ以外は日本独自プログラムを実施想定、参加費は徴収する。

第76回定期学術集会進捗報告
審議事項1)日本体外循環技術医学会(JaSECT)との共同開催:JaSECTと2023年仙台で共同開催するため意見交換を行ったことが報告され承認された。2)プログラム委員会委員:第75回学術集会終了時に第76回のテーマの公表を想定しており、各領域のプログラム委員会委員および開催スケジュールが報告され承認された。

13.財務委員会(財務WG)
第1回財務WG議事録(2/24開催)が提出され報告された。総合将来計画委員会・専門医会員のあり方委員会諮問事項「専門医会員の会費変更の提案がなされたことに伴う会費収入と収支のバランスのシミュレーションを図る」:現在の専門医会員の年会費を他学会並みに変更した場合(評議員除)、毎年の年会費収入が減少するため検討した。1)結論:学術集会の収支見直しを図り、大枠の方針は総合将来計画委員会で、具体的には学術集会委員会にて検討する。本会事務局主体の運営としPCOは当日運営のみとする。2)今後の検討課題:1.全体:各事業の収支を再検討する。2.シュプリンガー社出版費用:Case Report誌は、今後、個人課金を検討する。同社とは長期契約(円ベース)で契約をする。3.年会費:地方会費が含まれており分配比率を検討する時期である。3)第75回定期学術集会:予算を確認し次回の総合将来計画委員会で方向性を決める。

14.倫理・安全管理委員会
1)第1回委員会議事録(2/28開催)が提出され報告された。第75回学術集会時の医療安全講習会は1.コロナに関して:舘田一博先生(東邦大学)、2.SDM(Shared decision making)について:小松康宏先生(群馬大学)に決定した。2)医療安全調査機構の協力学会への説明会報告(3/22開催):医療事故調査・協力学会担当者リストの依頼があった。3)医療安全講習会のあり方:オンサイトとオンデマンドで実施する。なお、日本外科学会の講習はe-ランニングシステムに変更し他学会で利用できるように建付けができており、今後、外科に統一すべきか検討する。

15.診療問題委員会
1)令和4年度診療報酬改定項目、2)複数手術に係る費用の特例の追加、3)切開創SSI予防を目的とした術後縫合創に対する局所陰圧閉鎖療法、4)呼吸補助ECMO加算:診療等に係る評価の見直しがされ、呼吸補助ECMO治療に関わる評価が新設されたことが報告された。

16.ガイドライン委員会
日本循環器学会より循環器病ガイドラインシリーズの代表班員推薦の依頼があり心臓分野役員に委員推薦を依頼していることが報告された。1)2023年ガイドラインフォーカスアップデート版PCPS/ECMO/IMPELLAの適応・操作、2)2024年改訂版心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン、3)循環器領域におけるダイバーシティに関するガイドライン。

17.研究・教育委員会
報告事項1)第1回委員会開催:第1回総合将来計画委員会(1/11開催)でPostgraduate Course(PGC)について現状確認の上、今後の方向性について議論を行うよう当委員会に諮問があった。検討の結果、以下2点を第2回総合将来計画委員会(2/24開催)に答申し承認された。1.今後はすべてのPGCをオンデマンドのみで行う。2.MitralConclaveおよびAortic SymposiumはPGCをオンデマンドにすることで空く会期の中でPGCとは別に開催する。
2)PGC:心臓血管外科分野で3学会合同PGC委員会を3/8に開催し第75回学術集会のPGC講師を決定した。呼吸器外科・食道外科と3分野すべての講師が決定し、第75回よりオンデマンドになることを受け、依頼要項を改訂する。
3)JATS・JSCVS・JaSECT合同心筋保護Taskforce:心筋保護アンケート調査2021年心筋保護法の実態調査(2020年分)が提出され、回答率86%、現在、Taskforce内で確認を行っており、今後、委員会を開催予定であることが報告された。心筋保護研究会とも協力していく。
4)サマースクール:呼吸器外科サマースクール:会期7/9(土)10(日)神戸医療機器開発センター(MEDDEC)・ニチイ学館ポートアイランドセンター、事務局代表:眞庭謙昌先生(神戸大学大学院・医学部呼吸器外科学分野)、心臓血管外科サマースクール:-なぜ今、心臓血管外科なのか?体験し、語らい、見つけよう!-、会期8/27(土)28(日)予定、当番幹事:椎谷紀彦先生(浜松医科大学医学部附属病院第1外科)、分散開催で東北大学・テルモラボ・神戸大学、開催形態は実行委員会で審議中であることが報告された。

18.JATS Academy委員会
審議事項:2つの教育プログラムの開催に関して感染症微増のため再延期をすることが決定され、今後、開催時期を再検討する。
報告事項1)JATS Academy教育プログラム:コロナ禍による延期で実地参加が難しくなった参加者に対しては事前の講義(オンライン配信)の聴講を参加費の半額で可とする。この場合、Off the Job Trainingのクレジット取得は認めない。1.第1回MICSワークショップ(会期:再延期、イービーエム羽田医療技能訓練所・羽田イノベーションシティK棟406号室)、2.第1回大動脈弁形成ワークショップ(会期:再延期、日本ライフライン・天王洲アカデミア(研修センター)
2)JATS Academyコンテンツ:PGCテキストはデジタルデータで配布しているが、今後はオンデマンド期間終了後、収載とする。現在は2014年(第66回)~2022年(第74回)テキストが閲覧可能である。
3)関連教育プログラム:当会・日本心臓血管外科学会・日本経カテーテル心臓弁治療学会による3学会共催『TAVIワークショップ』の事務局より、第1・2回実施報告書と第3回実施計画書の提出があった。
4.)その他:「JATS後援企業セミナー」は昨年アボット社より申し込みがあり社内で準備中。「JATS Academy Webinars」はテーマと講師を選定中で心臓・肺・食道の順で企画予定である。

19.広報委員会
審議事項1)顧問弁護士校閲済の株式会社メディカルノートとの連携協定書が提出され、締結の目的や主要条項が報告され承認された。
報告事項1)第1回委員会議事録(2/3開催)が提出され報告された。2)News Letterメール:No.64(2022.1)・No.65(2022.3)を発刊した。3)バナー広告:現在4社の広告を掲載中である。コヴィディエンジャパン株式会社・株式会社カイトー・エドワーズライフサイエンス株式会社・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社

20.総務・渉外委員会
報告事項1)JATSピンバッチ:会員には第75回学術集会にて配布する。2)団体勤務医師賠償責任保険クレジットカード払い導入:申込み済の場合は8/1補償開始分よりクレジットカード払いが可能、4月上旬より本会会員ページから加入申込み(新規)が可能、加入者増加への協力が依頼された。

21.JATS-NEXT委員会
審議事項:JATS-NEXTのコンセプトが報告され承認された。1)構成メンバーは設置せずに運営側のコアメンバーを募集し各地方会におく。コアメンバーの条件:(消化器外科・呼吸器外科・心臓血管外科)専門医資格を有している者・Under50・JATS評議員でない者・JATS会員であることが望ましいが現時点では求めない。選定方法:JATS-NEXT委員で選定し(選定方法も検討)、理事会で承認する。2)JATS-NEXT委員を構成委員に加えて頂きたい委員会:国際委員会・地方会あり方委員会・JATS Academy委員会を候補とする。3)内規が提示された。
報告事項4)アンケート:活動始動にあたり50歳以下のJATS会員ならびに食道外科領域の医師を対象に実施しており、集計結果を纏め関西胸部外科学会・第75回学術集会で報告を予定している。

22.定款改訂委員会
次回理事会にて3分野会長の選び方が変わることを報告する。

23.臓器移植委員会
特段の報告なし。

24.胸部外科医労働環境委員会
第75回学術集会時の学会企画「若手胸部外科医の働き改革はどうなる?どうして欲しい?」:「医師の働き方改革アンケート」に沿って議論する。

25.国際委員会
感染症の影響で留学が困難であること、本年もフェローシップを公募し合格者が決定したことが報告された。

26.COI委員会
特段の報告なし。

27.地方会のあり方委員会
審議事項1)「日本胸部外科学会地方会」の英訳:第75回中島淳会長から依頼があり、委員会及び理事会で検討の結果、地方会は「JATS Regional Chapters」、各地方会は「JATS地方会名Chapter(例:JATS Hokkaido Chapter)」、学術集会は各地方会に任せることが承認された。ただし、関西胸部外科学会は既に英文名称および学術集会名称が決定している。「Kansai Thoracic Surgical Association」「The64thAnnual Meeting of Kansai Thoracic Surgical Association」
報告事項:第1回委員会議事録(3/10開催)が提出され報告された。1)-1.JATS Case Presentation Awardsの仕様確認:地方会別演題数および領域別演題数は現在の設定数で4~5年継続とする。GTCC投稿は依頼ではなく推奨とする。1)-2.第75回の座長・審査員推薦:各地方会は内諾を得た上で当委員会に推薦を行うこととした。3)今後、各地方会に一体化後初の補助金の用途が確認できる決算書を提出していただく。

その他
第77回学術集会情報
HPに予定として掲載する。会期:2024/10/30(水)~11/2(土)、会場:金沢、竹村博文会長。

理事会・評議員会開催日程の件
年間日程が提出され報告された。

編集後記
広報委員会委員 前田 寿美子
 暑かった夏も、ようやく通り過ぎようとしています。
 さて、第75回日本胸部外科学会定期学術集会が、いよいよ来月、10月5日から横浜において開催されます。統括会長・分野会長制になって、そしてコロナ禍に入って3度目の学術集会となります。統括会長・分野会長制になったことで、いずれの分野においても工夫を凝らし、充実したプログラムになったと感じています。現在は感染第7波に収束傾向が見え始めているものの、中島 淳統括会長(呼吸器)、荻野 均分野会長(心臓)、松原 久裕分野会長(食道)をはじめ、主催関係者の皆様は、大変なご苦労をされてご準備されていると拝察します。ぜひ、お天気に恵まれて、多くの会員の皆様がご来場され、活発な討論が展開されることを期待しています。
 今回のニュースレターはJATS-NEXT委員会の活動報告、第1回JATS award for young investigators 受賞研究のGTCS掲載報告、2019年度JATS/AATS Foundation Fellowship受賞者の留学体験記、2022年3月29日の理事会報告についても掲載しています。自分ごととして理事会報告に目を通す会員は少ないかもしれませんが、専門医会員の認定要件と年会費の改定方針、GTCSのCase Report誌発刊に向けた動きなど、会員の皆様に関係しそうな話題(掲載までにタイムラグがあり、最新情報ではない点はご容赦ください)も含まれています。ちらりとでもよいので、お目通しいただけますと幸いです。
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